プルタルコス英雄伝〈中巻〉の感想

プルタルコス英雄伝〈中巻〉の感想あーりーの読書日記プルタルコス英雄伝〈中〉 (ちくま学芸文庫)
プルタルコス英雄伝〈中〉 (ちくま学芸文庫)

どんな本?

ローマ帝国時代の伝記作家プルタルコスが書いた偉人伝です。少年時代、クラスに馴染めなかったナポレオンが心の拠りどころにした愛読書だそうです。プルタルコス英雄伝〈下巻〉はこちらをご覧ください。

 

やっぱりアレクサンドロス大王

ロムルス(ローマの創設者)や、グラックス兄弟(ローマの政治家)など、いろいろな人物が載っています。

中でも有名なのは、やっぱりアレクサンドロス大王ですよね。利発で、正義感が強く、自分の美意識に忠実で、才能豊かな少年(そしてのちに青年)として描かれています。

 

ぼくには希望がある

アレクサンドロス大王のエピソードをいくつかご紹介します。それが著者プルタルコスの試みであり、この本の真骨頂だからです。

青年となったアレクサンドロスは、遠征に出発する前に、王室の財産を仲間たちに分け与えました。

あまりにも気前よく分け与えるものだから、仲間のひとりが心配しました。

「あなたの財産がなくなってしまいますよ!」

アレクサンドロスは答えました。

「ぼくには希望がある」

かっこ良すぎです! たくさんの人々が彼に魅了されてその夢を応援したのもうなずけます。

 

きみの恋を応援しよう

こんな話もあります。

あるとき、兵士のひとりが仮病をつかって戦場を離れようとして、それがバレました。

大変な罪です。

アレクサンドロスは兵士に事情を聞きました。

兵士は、片思いの女性に会うために仮病をつかったのだと白状しました。

ふつうは怒るところですが、アレクサンドロスは言いました。

「きみの恋を応援しよう。どうすれば彼女に振り向いてもらえるか、一緒に考えようじゃないか」

粋ですね。粋です。こんな王様がいたら、たまりませんね。

 

万人に好かれたわけではない

いま、イイことだけ書きましたが、人間ですから光があれば闇もあります。アレクサンドロス大王も常にカリスマ的な存在だったわけではありません。コミュニケーションのごたごたで苦労したり、兵士たちにそっぽを向かれたこともあります。

そのあたりの生々しさ、人間味を描き出しているところも、この本の魅力です。

 

この本を知ったきっかけ

むかし『知ってるつもり』というテレビ番組がありました。関口宏さんが司会で、毎回さまざまな歴史上の人物をとりあげる教養番組です。

ナポレオンをとりあげた回がありました。今から20年以上むかしのことです。当時大学生だったぼくは、その放送をカセットテープに録音して(ビデオを持っていなかったのです)何回も聴きました。

 

ナポレオンの愛読書

ナポレオンの人生に興味がありました。夜はナポレオンの人生を聴きながら寝て、朝はナポレオンの人生を聴きながらトーストを食べました。おなじカセットテープを、暗記するほど聴きました。

『プルタルコス英雄伝』を知ったのは、そのときです。

ナポレオンの少年時代の愛読書として紹介されていました。当時の番組のナレーションでは「プルタークの英雄伝」という言い方でした。ナポレオンはその本に書かれているアレクサンドロス大王などの伝記を読みふけって、将来への夢をふくらませていたそうです。

ナポレオンが夢中になったのと同じ本を、ぼくらも書店で手に入れられると思うと、少し不思議な嬉しい気持ちになります。

ぼ くが『プルタルコス英雄伝』を読もうと思ったのは、以上のような思い入れからです。

ちくま学芸文庫のプルタルコス英雄伝は、上巻、中巻、下巻にわかれています。ぼくがまず読むのは、中巻でなければなりませんでした。ナポレオンが読んだというアレクサンドロス大王の伝記は、中巻に載っているからです。

 

性格を示すエピソードが満載

著者のプルタルコスは、この伝記を書くときに気を付けたことがあったそうです。

歴史に残る大事業や戦闘などの描写を中心に書くのではなく、歴史の本には残らない、本人の性格や心の特徴をしめすエピソードを中心に書くということです。

『プルタルコス英雄伝』は、歴史上の人物たちの何気ない会話や逸話から、ナマの人間像を見せてくれます。

プルタルコス英雄伝〈中〉 (ちくま学芸文庫)

あーりー

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あーりーと申します。のんびり、ほのぼの。

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